今回紹介する作品は「ワンダー 君は太陽 (英語名:Wonder)」です。
障害のために差別や偏見と闘う少年とその家族の様子を描いた感動作です。
考えさせられるシーンが非常にたくさんあり、心に響く名言も数多いです。人生で一度は見ていただきたい名作映画です。
今回はワンダーのあらすじと各シーンの解説していきたいと思います。
※※以下ネタばれを含みます。ご注意ください※※
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Summary / あらすじ
主人公オギーは、生まれつき「トリーチャーコリンズ症候群」と呼ばれる、頬骨の欠如や目が垂れ下がってしまうことが特徴的な病気の持ち主。その彼が初めて実際の小学校に通い始めるところから物語は始まります。
そこで勉強を楽しんだり、新しい友達を作りますが、同時にいじめや裏切りにも遭います。そんな困難に直面しつつも、家族や学校の先生、そして本当の友人の助けのおかげで、それらを乗り越えていく様子が描かれています。
オギーの成長を見ながら、見ている人も勇気や感動をもらうことのできる物語です。
Characters / 登場人物
Auggie / オギー
Isabel / イザベル(オギーの母親)
アーティストで絵を書くのが得意。オギーの出産をきっかけに自分の夢を一時中断する。
どんなことにも諦めずに最後まで取り組むことのできる強靭な精神の持ち主。
Via / ヴィア(オギーのお姉ちゃん)
高校生。大人しい性格。
親友のミランダと疎遠になってしまったのをきっかけに、
Nate / ネイト(オギーの父親)
笑わせるのが得意で、家族の中のムードメーカー。オギーのことも、妻のことも、
Jack / ジャック
オギーが最初に仲良くなるクラスメイト。奨学金をもらっているが、学力はイマイチ。
オギーのことを面白いやつだと思い仲良くなるが、他の友達がオギーの悪口を言っているのに便乗してしまい、オギーと不和になる。Peer Pressure(同調圧力)に弱い子として描かれている。
Summer / サマー
オギーの理解者。口数はあまり多くないが、大人な考えの持ち主。
Peer Pressure(同調圧力)に強く、ジャックと対照的な存在として登場する。
Julian / ジュリアン
オギーをいじめる主犯格。悪口を言ったり、クラスの集合写真を編集してオギーを消したりと、陰湿ないじめを繰り返す。
ただ、思いやりがなく、高慢な性格の両親に育てられた故に、ひねくれた性格になってしまったという可哀想な一面も。
Mr. Browne / ブラウン先生
日々「
Mr. Tushman / トゥシュマン校長
Miranda / ミランダ
その原因は両親の離婚のストレス。
Quotes / 各シーンからの引用
冒頭のオギーの自己紹介
My name is Auggie Pullman.
Next week I start fifth grade, and since I’ve never been to a real school before
I’m pretty much totally petrified. Absolutely.僕の名前はオギー・プルマン。
来週5年生になる。本当の学校に行くのは初めてだから、
ガチガチに緊張してる。本当に。
オギーが自分のことを紹介している冒頭のVoiceover(ナレーション)です。
今まで家の中でしか生活してこなかったオギーが、
初めて外の世界に出ていく際の緊張や不安を表しているセリフです。
【petrified】という言葉が使われていますが、
これは「石のようにカチカチに固まった」という形容詞です。
見たものを石に変えてしまうメジューサという怪物がいますが、
そのメジューサに石にされてしまったようなイメージですね。
学校に行くことになり、恐怖と緊張で身動きが取れないほどオギーはカチコチに固まっています。
オギーのナレーションに、「自分はOrdinary(普通な)じゃない」というセリフが何回も登場します。
自分の生まれ持った障害がコンプレックスで、
新しい環境に馴染めないのではないかという恐怖は、
障害を持っていない人にははかり知れません。
しかし最終的に家族の支えのおかげもあり、学校に行くことを決心します。
自分の障害と向き合い、恐怖を乗り越え、
勇気を振り絞って行くことを決意したオギーの勇敢さは、高く評価されるはずです。
ちなみに5年生は、アメリカでは一般的に小学校の最後の学年ですが、
オギーの通う学校は5年生は中等部の最初の学年となっているようです。
初めてのホームルームで…
家族に見送られ、ついにオギーは一人で登校します。予想通りオギーは目立ってしまいますが、それでも何とか教室にたどり着きます。
担任になったのはイケメンのブラウン先生。そのブラウン先生が教えてくれたのがこの「格言(precept)」です。
When given the choice between being right or being kind, choose kind.
正しさと優しさ、どちらか選ぶとしたら、優しさを選ぼう。
この言葉はオギーにとって、救いとなるような言葉です。
「正論が人を傷つける」という言葉があります。自分が正しいと思って放った言葉や行動が他人を傷つけてしまうこともあります。この格言は「正しいことが常に正義とは限らない。正しさよりも、優しさを一番に考えよう」という意味があります。
子どもたちにとって、「珍しい人がいたらジロジロ見る」「いじめられてる人がいても見て見ぬフリをする」が「正しい選択」かもしれません。なぜならもし庇ったりしたら自分がいじめられるかもしれないから。
しかしそれはそのいじめられている子にとって「優しい選択」ではありません。
「正しさ」と「優しさ」という究極の選択を迫られたときは、勇気を振り絞って「優しさ」を選んでほしいというブラウン先生のメッセージです。
この言葉を朗読したクラスメイトのサマーは、その意図を理解し、実践していきます。
いじめられたオギーに対してママが放った言葉
登校初日はオギーにとってつらいものでした。周りからジロジロ見られ、クラスメイトからは悪口を言われます。家に帰ってもふさぎ込んでいるオギーに対し、ママは次の言葉を投げかけます。
You are not ugly,
and anyone who cares to know you will see that.あなたは醜くなんかない。
あなたのことを知ろうとしてくれる人なら誰だって気づくわ。
傷ついたオギーに「あなたは醜くない」と断言し、息子に自信を与える母の思いやり、慎重な言葉づかい、そして息子に対する愛情が伝わってくるシーンです。筆者の1番目の涙腺崩壊ポイントです。
この言葉はこの物語の要約とも言える言葉で、のちにオギーのことを知った人は、次々に彼の魅力に惹かれていきます。
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トゥシュマン校長 V.S. ジュリアンの両親
ジュリアンのオギーに対するいじめが激化し、ついに校長が両親を呼び出します。
両親は謝罪するかと思いきや、「子供は傷つけ合うものだ」と自分の息子を擁護し、加えてオギーは学校の風紀を乱していると言い放ちます。
その際にトゥシュマン校長は以下の言葉を放ちます。
Auggie can't change the way he looks.
Maybe we can change the way we see.オギーは見た目を変えることはできません。
なので私たちの「見る目」を変えてみませんか。
このシーンは「正しさ」と「優しさ」が衝突している場面です。
ジュリアンの両親は「オギーのせいで息子は悪夢を見ている。
周りがオギーのことばかり構うから、息子は学校が嫌になってきている」という
「彼らなりの正論」を展開します。
それに対しトゥシュマン校長は、「オギーは変わる必要はない。彼のことをもっと理解し、ともに生活できるように私たちが見る目(理解しようとする姿勢)を変えていかなければいけない」という「オギーにとって優しい意見」を主張します。
しかしジュリアンの両親は聞き入れる耳を持ちません。その場で息子を別の学校に転校させると言い放ちます。
しかし、ジュリアンだけはこの校長の言葉の意味を理解し、
去り際に「ごめんなさい」と今まで自分のやったことを謝ります。
オギーのことをここまで思いやり、必要な時にはバトルまでしてくれる校長もかなり貴重な存在だと思いました。
加えてこのシーンは今まで嫌な奴だったジュリアンが少しかわいそうにも見えるシーンです。
自分たちの非を認めない両親のせいで、別の学校に転校させられてしまいます。
しかし彼は両親と違い、素直に自分の非を認め、謝ることができました。
このシーンから、ジュリアンは本当はものすごく素直な子で、非常識な両親に育てられた故に性格がゆがんでしまったのではないかと推測ができます。
最後にオギーが思うことは…
オギーは「静かな強さで多くの人の心を動かした」という理由で、修了式で校長より表彰されます。
全校生徒とその家族からスタンディングオベーションを受けたオギーが思った言葉が以下の通りです。
Be kind, for everyone is fighting a hard battle.
And if you want to see what people are, all you have to do is look.人に優しくしよう。誰だって苦しみながら戦っているんだ。
他人を理解するために、まずやるべきことは「よく見る」ことだ。
オギーは自分のことを普通じゃないと思っていましたが、自分以外の人も心の中を覗けば、素晴らしい面を持っている反面、悩みを抱えていたり、弱い部分もたくさんあるため、「世の中に普通の人は一人もいない」ということに気づきます。
それを悟ったオギーは「誰にでも優しくすることで、みんなをいたわろう」と決意します。
そして他人を知るためには、まずは「よく見て」、そして理解しようとする姿勢が大切であると視聴者に語り掛けます。
これはオギーのことを理解しようと努力してくれたサマーやジャック、学校の先生たち、そして大好きな家族がオギーにしてくれたことですね。
これからはその恩返しをしていこうと決意するシーンで物語は終わります。
おわりに
この物語は障害を持った子にスポットが当てられていますが、学べることは非常に多くあります。
この映画で学んだことは、障害者の方に対してだけでなく、LGBTなどの性的マイノリティの方たちに対してや、自分とは異なる人種の方たち対しても適応できることです。
加えてこの作品は、自分とは異なる意見や価値観を持っている人にどうやって接していくべきかまでも教えてくれます。
まだ映画を見たことのない方は是非見ていただき、オギーの言う「優しい勇気」を持って、「人に優しく」することのできる人が増えていくことを祈っています。
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